通訳・翻訳

ヨーロッパ発祥の自然染料、大青を求めて

1日目の高級カシミア紡績社、カリアッジ社訪問を終え、2日目はマルケ州が誇る世界遺産の街、ウルビーノにやってきました。   まずは、古い歴史を持つウルビーノ植物園へ。植物園内は、入り口からは想像もできないような広さで、薬用植物を主に色んな植物が育てられています。また、自然染料の元となるモクセイソウ、アカネ、イラクサ、大青など様々な染色植物が観察できる花壇が新たに作られ、園内では染色植物を研究栽培しておられるマッシモ・バルディーニさん(Oasicolori協同組合代表)による特に貴重な青色の原料である大青の染色実演を見学しました。 インドからインディゴ染料がヨーロッパに伝えられ、その後バイヤー製薬が最初の化学染料であるマルヴィーナ(紫)を発明する1800年台まで、貴重なヨーロッパ産の青色自然染料として絵画の染料としても使用された大青は、その生産の中心となったマルケ、ウンブリア、トスカーナ州に大きな経済効果をもたらしました。   不水溶性物質である大青の染色成分を繊維に浸透させる為、染色溶剤に苛性ソーダもしくは重曹(または亜硫酸塩)を加えると、溶剤は緑色に変わり染色成分が水溶性に変化します。そこで布を溶剤に浸し、繊維の厚みにより5分から20分後に布を引き揚げると、空気中の酸素に触れる事により緑色(水溶性)が再び青色(不水溶性)に戻り、色耐性の優れた鮮やかな青色が定着します。   この緑から青に変わっている瞬間が神秘的で、参加された学生の皆さんも、息を飲んで見守っていました。動画を撮ったので、そちらをご覧下さい!
その他の色素を抽出できる草木や、いつかは枯渇するであろう石油を使う事なく、クルミやザクロ、オリーブの剪定から出る枝や葉っぱなどの食品廃棄物を染料として使用するというエコロジープロジェクトについても講義がありました。バルディーニさんのお話はとても興味深く、参加した学生さんからも次々に質問が飛び出し、とても有意義な午前の講義となりました。   午後は、ラファエッロの生家(Casa natale di Raffaello)を訪ね、ラファエッロの父であるジョヴァンニ・サンティが実際に使用していた自然染料を細かく砕く石を見学、また聖ヨハネ礼拝堂(Oratorio di San Giovanni Battista)では壁一面に書かれたフレスコ画を見学し、ジョットの時代からルネサンス時代の過渡期にあたる国際ゴシック時代の絵画に自然染料がどのように使用されたのか、歴史的背景を織り交ぜながら興味深いお話を聞く事が出来ました。 今回は植物、科学、歴史、宗教、美術、紡績そしてファッションと多岐にわたるジャンルの通訳業務となりました。業務は二日間でしたが、入念な事前準備をし、なんとか無事に終える事が出来ました。イタリア語と日本語を操る事はもちろん、新しい人との出会い、色んな分野についての造詣を深める事ができるのが通訳の魅力です。またこれからも研鑽を続けていきたいと思います。   カフェトークでイタリア語を教えています。こちらから新規登録で500ポイントプレゼント!  

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