発音・アウトプット

「Z」の発音から知るイタリア語の理想と現実


今日はタイトルの通り、

「Z」の発音から知る「イタリア語発音の本音と建前」をお伝えするコラムです。


どうぞお付き合いください!



Zの発音は最初に習うが、どこまで説明するか悩む


なぜこれを書こうかと思ったかというと、一月は多くの出会いがあり、新規の生徒さんで、冠詞の説明の時にZの発音について説明する機会が多くありました。

加えて2年弱私のレッスンを取ってくださっている生徒さんも「知りませんでした!」とおっしゃるので、緊急コラムとして書くことにしたのです。


みなさん、イタリア語の最初のあたりで習う不定冠詞と定冠詞。

そこで、Zで始まる単語は・・・。と習いますよね。このZには、有声(dz)と無声(ts)があります。

有声は声帯が振動する音で、無声は声帯が振動しません。


例えば、Zucchero(砂糖)やZio(おじ)。

初級イタリア語で「Z」が出てくる単語といえばこれですよ、これ!よく出てきますよね!


さて、この単語のZ。有声のZでしょうか。無声のZでしょうか。

知っていますか?教えてもらいましたか?


・・・答えは、無声のZです!

「ズッケロ」や「ジーオ」と習ったあなた、ダメですっ。間違ってますよ!!

そう書いてある日本人のサイトも見かけるし、スタンダードと称してそう教える方も。


「単語の最初のZは有声です」とひとまとめにするのもアカン!それはかなり乱暴です(笑)。

スタンダードでは、「ツッケロ」や「ツィオ」と発音します!

カタカナで発音を100%表せないことはご了承くださいね。


理由は、

① Zucchero(砂糖)は第二音節が無声音であるCで始まっているから(Zuc-che-ro)。

例外は、Zeta(アルファベットのZ)、 Zafferano(サフラン)など。


② Zio(おじ)は、Zの後に母音が2つ続いているからです。

例外は、Azienda(会社)など。

 

  • Zの発音は、 以前も紹介したWikipdiaの以下のサイトで説明されています。他のルールも確認したい方は、ぜひ一読をオススメします。

Dizione della lingua italiana (イタリア語スタンダードの発音)

 

建前(スタンダード)と本音(実際の発音)で悩む


と、ここまではスタンダード(理想)の話。


「初めましての生徒さん」にどう説明するか、最初のレッスンで悩んでしまいます。


私だって普段はZuccheroを有声・無声のちょうど間くらいで発音しているし、確かに完全な無声になってないよな、と思うからです。

これが現実。


理由は、無声のZ(ts)は口先と歯に力を入れないと発音できないのですが、イタリア人、普段はそんなに力を入れて発音してない(笑)。

だから、発音ポイントが「ts」よりもちょっと後ろの「dz」に下がるんじゃないかなと考えています。

  • 過去コラムで「Zucchero」の発音を実験に参加したイタリア人全員が有声で発音した!と言うコラムも読んでみてね。

最短距離で自然な発音を学ぼう② イタリア語を聞き取る・話すヒントは、〇〇〇〇〇〇を捨てること


ですので、ネイティブ講師や日本人講師による「スタンダード」な発音講座と称していれば、あくまでも「スタンダード」なルールを教えるべきでしょう。

が!現実としてそうなってない、ということが起きてしまうのです。


なぜなら、それは「自分がそう思っている発音」ということが十分ありえるからです。

それを自覚してレッスンを提供する必要がありますね。


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Zは一つの例ではありますが、それは知識として持っておくべき。

ただ、現実は一つ一つの「音」よりも、単語と単語をどう繋げるとか、フレーズ全体の抑揚を学ぶ方がいいんじゃないかな〜と思っている一人です。


ここまでお読みくださりありがとうございました (^_^)


NORIITALIA

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