日頃和伊翻訳をする事が多いので、数日間続く通訳業務の時は1日目にとても緊張します。
翻訳も通訳もイタリア語ですが、口を動かさない翻訳と、聞いた事を瞬時にイタリア語にして話す、というのは全く別のスキルだなと再確認。
翻訳は言ってみればコンマとかピリオドなどにも万全の配慮をして200%間違いがないように翻訳するものです。
通訳も間違いは許されませんが、反応の早い事が最優先。
翻訳では使用しない言い回しもありますし、世間話など、双方のコミュニケーションがスムーズに行くよう、全体的にフォローする事も必要かな、という感じです。
緊張すると、通訳スピードが落ちます。悪循環の始まりです。
2日目からは少し緊張も解けて来て、「イタリア語が好きでたまらない!イタリア語シャワーで幸せ気分!」という本来の自分に戻れて楽しくなってきます。
楽しくなると集中力も上がり、イタリア語がスラスラ出てくるようになります。この状態をいつもキープするには通訳業務を月に3回は入れたい所ですが、田舎のこのあたりでは難しい所です。
さて。中部イタリアにあるマルケ州の州都、アンコーナにある室内塗料製造企業を数年前からお手伝いしています。
日本への製品輸出実現に向け、この度販売店となって下さる日本企業がイタリアまで来て下さる事になりました。
実際にペイントを試して日本人に受け入れられやすいものを選定して行きます。
工場内でプロ職人さんの技術を見学いたしました。
日本では壁紙を使う事もまだまだ多く、壁に塗るペイントも徐々に浸透しているとの事。
しかし今回輸出するイタリア製品は、装飾ペイントと呼ばれるもので、単に壁にペイントを塗るだけではなくてコテやハケを動かして模様を作る、というより繊細な技術が要求されるものです。
日本ではなかなか見かけないものですが、この機会に装飾ペイントの良さを伝えて行きたい、という日本側の情熱が感じられました。
ペイント実技コースと平行に、双方の社長含む経営陣による取引に関する細かい打ち合わせ、契約内容に含める条項のお話など、こちらも白熱したディスカッションが行われました。
まぁ言えばお金の話。
きっちり話しておかなければせっかくイタリアまで来て頂いたのに意味がありません。
日本で浸透していない商品を広めていく。そのためにかかる費用は少なくありません。
その投資の部分もどちらがどのように負担するのか。
まだ日本での反応は未知数ですが、この双方の努力が身を結ぶよう、私もがんばりました。

中身の濃い4日間でした。後半には近郊の海辺の町セニガッリアを散策したり、少しショッピングセンターにも立ち寄れて最低限?の観光も一応できました。
こちらはこれで終わりではなく、ここからが正念場。
10冊以上に及ぶカタログ、ウェブサイト、ウェブ販売関係資料、などの翻訳業務と日本側との打ち合わせがまだまだ続きます。